スポーツバイクを専用の袋に入れて電車や飛行機などで運ぶことを【輪行】と言います。交通量の多い都心から一気に移動して、自転車を走らせると気持ちのいいスポットを集中して楽しめる自転車旅のスタイル。公共交通機関を使えば、ゴール後に地元のお酒なども満喫できる点も最高です! 今回は輪行の達人である伊美哲也さんが、東京発着の輪行旅にオススメする5つのスポットを紹介してもらいます。
アドバイス/伊美哲也さん(アズマ産業・オーストリッチ)
MADE IN JAPANの高品質な輪行袋・フロントバック・キャリアバックなどを手掛ける国内トップメーカーの「オーストリッチ」。その製造販売元であるアズマ産業株式会社の代表を務める伊美さんは、輪行を始めとした自転車の遊び方に詳しい達人。自身も、国内だけでなく海外でも輪行+サイクリングを楽しむ無類の旅好きサイクリスト!
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東京から日帰りで楽しめる! 霊峰「筑波山」ヒルクライム+小貝川サイクリングロード
「西の富士、東の筑波」と並び称される関東の名山である筑波山。東京からは「つくばエクスプレス」で向かいます。この路線は秋葉原駅から出ていますが、比較的空いていることが多い六町駅や青井駅あたりから乗車が輪行初心者にはとくにオススメです。
目的地の筑波山へは研究学園駅かつくば駅が最寄りですが、ヒルクライムを楽しむ前に小貝川沿いのサイクリングロードを走りたいので、守谷駅で下車をしてスタートしましょう。
小貝川沿いを上流に進むと見えてくる「小目沼橋」は、珍しい木製の沈下橋なのでぜひ立ち寄ってもらいたいスポットです。
そのまま上流へ走り、「小貝川ふれあい公園」周辺から筑波山方面へ右折。視線の先に筑波山を確認しながら、交通量の少ない道を選びながら進んでいきましょう。守谷駅から筑波山までは距離約35kmです。
筑波山への上りコースはいくつかありますが、どれも距離5km未満なので、サイクリング初心者でも挑戦しやすい点も魅力です。そのうちの一つ、県道42号線を上っていくと筑波山神社まで行くことができます。神社から同じ道を戻ってくると霞ヶ浦まで続いているサイクリングロード「つくば霞ヶ浦りんりんロード」に到着するので、この道で土浦駅まで走ってゴール。筑波山のヒルクライムを入れても全体で距離65km程度のコースとなります。
ゴールした後の酒蔵巡りも楽しい!「奥武蔵グリーンライン」で峠越えライド
埼玉県の森林地帯である秩父市、毛呂山町を走る「奥武蔵グリーンライン」周辺は、多くのサイクリストを惹きつける「定峰峠」「白石峠」など魅力的な峠が多く存在します。自走でこの峠をクリアして自宅まで戻る往復のロングライドを楽しむ健脚サイクリストも多いですが、オススメは輪行ライドです。なぜなら、今回紹介するコースのゴールとした小川町では日本酒の酒蔵が点在し、クラフトビールなども楽しめるので、輪行ならば走り終わった後に地酒を味わえるからです!
この地域には多くの魅力的なルートが走りますが、私がオススメするのはJR高麗川駅から走り始め、鎌北湖から奥武蔵グリーンラインに入って、白石峠、定峰峠を抜けてJRと東武鉄道の小川町駅でゴールする約60km。
東京の森林地帯・奥多摩「風張峠」でヒルクライム&グルメ三昧
東京の奥多摩地域にも、東京とは思えない自然豊かなコースが広がります。なかでもJR武蔵五日市駅から走り始め、「都民の森」まで走って同じ道を戻ってくる距離約60kmのルートと、都民の森から「風張峠」を越して下りルートに入って「奥多摩湖」を抜けてJR青梅駅でゴールする距離約90kmのルートが人気です。
しかし、私がオススメするのは、都民の森は目指さずに、檜原村役場を過ぎたT字路を右折(都民の森へは左折)して交通量の少ない「時坂峠」を目指すルート。「檜原とうふ ちとせ屋」横の道を上って時坂峠まで走ります。そのまま反対側に越したいところですが、現在通行止めになっているため、同じ道を戻って「檜原とうふ ちとせ屋」で豆腐のドーナツやソフトクリームを食べるのが私のお決まりになっています。
奥多摩地域には蕎麦屋やトレーラーを改装したカフェ、造り酒屋の食事処などが点在しますので、本格ロングライドをしながらグルメも満喫することができます。
歴史と自然の魅力あふれる日光国立公園を走る抜ける本格ロングライドコース
「日光東照宮」などの歴史スポットと、「中禅寺湖」や「戦場ヶ原」などの自然豊かな場所を満喫できる栃木県の日光。今回紹介するコースはJR日光駅・東武鉄道 東武日光駅から走り始めるのですが、輪行旅ではスタートとゴールを違う場所に設定することもできるので、ゴールは群馬県のJR沼田駅とします。
スタートとゴールを別の場所に設定する場合は、着替えなどの荷物を運ぶ必要があるので、【オーストリッチ】の「スマートイージーパックmini-X」などの大型のサドルバッグを使用することがオススメです。
撥水・防水性に優れた大型サドルバック「オーストリッチ スマートイージーパック」のミニサイズ。
価格:8,910円(税込)/サイズ:H130×W120×D400mm/容量:5L
重量:220g/カラー:ブラック、オリーブ
日光駅から「いろは坂」、中禅寺湖、戦場ヶ原を通過して金精トンネルまで約40km上り、トンネルを抜けて沼田駅まで約50km下るコース。上りルートのほとんどは斜度5%前後ですが、金精トンネル手前が7〜8%とキツくなり、下りルートはスピードが出過ぎてしまうので、十分注意しましょう。
日帰りする場合、朝早く日光駅に到着するとまだ駅周辺のお店が開いていないのですが、少し進んだ先にある和菓子屋「補陀洛本舗 本店」(8時30分開店)では、湯葉で味付けおこわを巻いた「ゆばむすび」を買えるので朝食にオススメです。
新幹線輪行に挑戦! チャレンジ天城越え&伊豆半島縦断ライド
輪行袋にしっかり収納することで電車にスポーツバイクを持ち込むことができますが、実は最もオススメなのが新幹線輪行です!
新幹線各車両の最後部にはスペースがあるので、自転車が収納された輪行袋を置きやすく、このスペースの利用は事前予約制なのでどの時間帯に乗っても置けないということがありません(3辺の合計が160〜250cmまで。事前予約が必要。予約すれば手数料1,000円はかかりません)。
今回、新幹線輪行で静岡県三島駅に到着し、駅南口から南下して県道144号線を通って徳倉橋から狩野川へ。
川沿いを上流へ進み、「修善寺」の「修禅寺」で(地名は修善寺、お寺の名前は修禅寺ですが、どちらも「しゅぜんじ」と読みます!)少し休憩。
さらに国道414号線を南下して演歌でも歌われた「浄蓮の滝」、川端康成の小説『伊豆の踊子』の舞台にもなった「天城トンネル」に立ち寄りながら伊豆半島を縦断していきます。
天城トンネルを越して(旧トンネルへの道は未舗装ですがロードバイクでも走行可能)、下りルートで「河津七滝ループ橋」を越してさらに国道414号線を進んで伊豆急行線 伊豆急下田駅で伊豆半島縦断ゴールとなります。
ここまでで距離約67km。まだ体力が残っている人は、伊豆急下田駅前の国道135号線を進み、開放感のある海沿いの道を北上して伊豆急行線 河津駅でゴールするのもオススメです。