家族で一緒に楽しく学ぶのもオススメ!東京・伊豆大島で【ネイチャー】サイクリング

ジテンシャ旅
ジテンシャ旅

東京と聞けば、大都会を思い浮かべる人がほとんどかもしれませんが・・・都市部から100kmほど南方の太平洋に位置する伊豆大島は、地球活動の遺産を見どころとする大地の公園“日本ジオパーク”に指定されるなど、今なお活動する火山によって生み出されたダイナミックな景色が広がる自然の魅力に溢れた島です。

伊豆大島では2016年に全日本自転車競技選手権大会とアジア自転車競技選手権大会が開催され、無料で配布されているサイクリングマップや島内各所にサイクルラックが置かれるなど、サイクルアイランドとしても人気が高まっています。

また、島内の様々なお店でスポーツバイクや電動アシスト自転車のレンタルができるので、初めてサイクリングに挑戦する人にもオススメです。島内各所に火山活動で出来たジオスポットが点在するので、家族で自然観察をしながらサイクリングする休日も楽しいですよ♪

今回は伊豆大島ジオパーク推進委員会事務局の臼井里佳さんに、島一周・海岸沿い・ヒルクライムの3つのルートの途中で出会うことのできるジオスポットを解説してもらいました。さらにオススメの島グルメ&温泉も紹介します!

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初めてのロングライドにもオススメな「大島一周道路」ルート

伊豆大島の中央に位置する三原山を取り囲むようにして走る「大島一周道路」で一周すると距離約47km。島の西側は噴火の溶岩流で埋め立てられたなだらかな平地が広がっているので、集落やお店は北〜西〜南に集中しています。
一方、東側は数十万年前にあった古火山の上に、数万年前からの新たな噴火の溶岩流が覆い被さったことで標高が300mほど高くなっています。海岸線沿いでは急峻な海食崖が見られ、アップダウンが続く走り応えのある道が続き、水・食料の補給ポイントもありません。この島東側を前半に設定する場合は時計回りに一周、逆に後半に走る計画ならば反時計回りに走りましょう。

泉津の切り通し・椿トンネル

元町港から走り始め、「大島一周道路」を時計回りに距離約8km走ると右に曲がる道が出てくるので、「椿トンネル」の看板に従って右折。しばらくすると木の根が岩肌にへばり付いた「泉津の切り通し」が右手に見えてきます。さらに進むと道の両側に椿の並木が続く「椿トンネル」を走り抜けることができます。椿は火山灰やスコリア(火山噴出物)が覆う水はけのいい土壌での生育に適した伊豆大島を象徴する植物です。島内には約300万本が自生し、2月〜3月には鮮やかな赤い花が見頃を迎えます。

裏砂漠

「大島一周道路」を時計回りに元町港から約17km走ると、黒い溶岩のルートが三原山へと続く場所に到着します。この先は火山灰とスコリアに覆われたダートロードが続くため自転車のタイヤでは走行できませんが、1kmほど登ると植物がほとんど生えていない砂漠のような景色の「裏砂漠」が広がります。サイクリング終了後にハイキングなどで訪れるのがオススメです(指定された場所の外での車両侵入は禁止です)。

筆島

「裏砂漠」の入り口から一周道路は島の南部に向かって下りコースに入ります。下り切った左手にある見晴台から見える、海中に筆先のような形で突き出ている岩が筆島です。荒波に耐えるように佇む姿から地元では“神の宿る場所”として崇められてきたそうです。海水浴場にもなっている海岸を進むと、赤茶けた地層を上下に貫く灰色の筋“岩脈”を見ることができます。これは、地下から地上に向けて割り入りながら上昇し、地中で冷え固まったマグマの跡です。

カキハラ磯

「筆島」見晴台から一周道路と海との間に走る小道を進むと見えてくる「カキハラ磯」。爆発的な噴火で空高く飛び散った噴石が落下してできた地形“ボムサッグ”がいくつも出現します。噴石落下後の侵食で周囲の地面が削り取られ、頭に噴石を乗せた塔がそこかしこに立つ面白い景色が広がります。

波浮港

一周道路を進み、郵便局を過ぎて少し進むと「波浮港」を見渡すことができる見晴台に到着。ここでは、マグマが地下水と接することで大量の水蒸気が急激に発生する爆発的な噴火(水蒸気噴火)によって出来た大きな円形の火口(“マール”)を見ることができます。
火口誕生後まもなく地下水で満たされ、1703年に発生した元禄地震による大津波で火口の縁が削られ海と繋がり、その後、江戸時代末期の商人・秋廣平六によってさらに開削されて、1800年に波浮港が開かれました。
一周道路をさらに進み、信号のある「クダッチ」交差点を直進し、右に曲がる道を左折して下っていくと波浮港に到着します。沖合漁業の中継港として栄えた趣のある町並みや石段が続くので、一度自転車を降りてウォーキングを楽しむのもオススメです。

地層大切断面

島の南西部に出現する「地層大切断面」。1953年の道路建設時に山を削ったところ、巨大な縦模様が現れました。その後地層の断面をそのまま残し、定期的な草刈りや整備などでこの様なダイナミックな景色が守られています。
過去約1万8000年間の噴火による噴石物の堆積によってできた地層で、スコリア・火山灰・風火火山灰もしくは腐植土の3層をひとつの単位(1回の活動期)として、これまでの噴火回数を知ることができるそうです。
時計回りで一周すると後半に出現しますが、元町港から反時計回りで一周道路を走れば距離約7kmなので、サイクリング初心者はこの「地層大切断面」を目標に往復約15kmを走るルートもオススメです。

三原山を目指す「ヒルクライム」ルート。ほぼ人工物ゼロの絶景温泉も最高です

1777年からの大噴火によってカルデラ(火山活動によってできた大きな凹地)内側に新たに誕生したのが島の中央に位置する三原山です。自転車ではカルデラの西側の縁にあたる「山頂口展望台」まで走ることができます。今回は島の中心地である元町港から「山頂口展望台」までのヒルクライムルート途中のジオスポットを紹介します。

御神火スカイライン

元町港から「山頂口展望台」まで走る2コースのうち、「御神火スカイライン」は最短の距離約6.8kmで到着できます。九十九折りの道を上っていくと、眼下には元町港や大島空港などの島西側の風景、さらに晴れていれば伊豆半島や富士山を望むことができます。大島空港の南側に見える小さな山が、裾野や中腹で起きた噴火(側噴火)でできた「愛宕山」です。

大島温泉ホテル駐車場

「三原山登山道」を上り、約9km走った地点を左折してすぐの場所にある「大島温泉ホテル」の駐車場にもジオスポットが出現します。注目ポイントは伊豆大島特有の玄武岩質の黒い地層の間に見える白い筋。これは、伊豆大島より約80km南に位置する神津島の天上山が838年に噴火した際の真っ白な流紋岩質の火山灰が飛んできて降り積もったものです。
また、大島温泉ホテルでは、人工物に邪魔されずに三原山を眺めながら源泉掛け流しの湯を楽しめる露天風呂もあり、日帰り入浴もできるのでサイクリングの途中に立ち寄るのも最高です。

三原山

伊豆大島の山頂部にあるカルデラの中にできた内輪山(中央火口丘)が三原山です。1777〜1778年の大噴火時に現在の形となり、「山頂口展望台」から見える斜面の黒い筋は1950〜1951年と1986年の噴火で流れた溶岩流の跡です。

のんびり自転車散歩&島スイーツを満喫!「サンセットパームライン」ルート

元町港から海岸線に沿って野田浜まで走る道が「サンセットパームライン」。ほぼ平坦で、野田浜から少し内陸に入り、大島空港の横を走って戻ってきても距離約12.4kmと、ファミリーやサイクリング初心者でも楽しみやすいルートです。

赤禿

サンセットパームラインを走っていると出現する、赤い土が剥き出しになった切り通しの周辺が「赤禿(あかっぱげ)」です。約3400年前の噴火で噴き出たスコリアがまだ高温のうちに空気に十分触れ、酸化したことでこのような色になったそうです。このスコリアでできた丘の上からは大海原と海岸線沿いに道が続く開放的な景色を楽しめます。

野田浜・乳ケ崎

野田浜でサンセットパームラインは終点。この周辺は現在の伊豆大島の形になる前の古い火山があった場所です。野田浜に到着する手前の少し離れた位置から見ると、野田浜の北側にある乳ケ崎はクジラの様な形をしています。
また野田浜はダイビングスポットとしても人気で、運が良ければサイクリングの途中で陸からもウミガメなどに出会えることもあります!

ぶらっとハウス

野田浜からサンセットパームラインを少し戻り、左折して大島空港の滑走路下を走るトンネルを抜けた先の左手にあるのが農産物直売所「ぶらっとハウス」です。伊豆大島の大自然の中で育った牛のミルクで作ったソフトクリームや、名産の明日葉が使われたアイスなどを楽しめます。

火山活動で生み出された絶景の湯と島グルメが最高なんです!

サイクリングを楽しんだ後には、温泉と島のグルメを満喫する!これが絶対オススメです!!

元町浜の湯

元町港の北側、サンセットパームラインが始まる長根浜公園にある温泉が「元町浜の湯」です。水着着用の男女混浴なので、家族で一緒に楽しむことができます。西側の海沿いに露天風呂が作られているので、夕日が沈むタイミングの入浴がとくにオススメです。

島グルメ

島唐辛子が入った醤油で地魚を漬けにした「べっこう寿司」(左上)、匂いは強烈&味は最高!な「くさや」(右上)、しゃぶしゃぶや寿司、煮付けなどで楽しむ「金目鯛」(右下)など、海の幸は最高です。さらに、大島牛乳で作られた「大島牛乳ぷりん」(左下)など、伊豆大島ならでは美味しいものを満喫できます。

前輪を外すだけで簡単に収納できる!【オーストリッチ 超速FIVE 輪行袋】

【オーストリッチ 超速FIVE 輪行袋】は前輪のみ外して収納できるので、輪行ビギナーにも使いやすい一品! 後輪部分には変速機も付いているので、後輪がついたままの状態で運ぶことで変速機周辺のトラブルを減らすことができます。
しかし、JR新幹線では3辺の合計が250cmを超すと輪行することができないため、前輪を外しただけでは運搬することができない点に注意が必要です。大型客船やフェリーでは前輪だけを外したサイズも運ぶことができることが多いですが、事前に確認してから利用するようにしましょう。

800×1380×220mmにコンパクトにたたむことができるので、サドル後部などに装着することが可能

伊豆大島や三宅島、八丈島などに就航する東海汽船の大型客船では、輪行袋に入れることで無料運搬ができます

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星野 知大

自転車・ランニング・水泳を中心に、日本&世界の“前に進む”スポーツの大会プロデュース・MCとして飛び回るスポーツ&自転車地理ジャーナリスト。日本・海外のスポーツメーカー・自治体と関係があり、インバウンド・アウトバウンド(視察含む)の両方向への企画立案・アドバイスも行う。過去には「美ら島オキナワ センチュリーラン戦略プロデューサー」「東京都三宅島ふるさと観光アドバイザー」を務めた。現在は「東京都観光まちづくりアドバイザー」としても活動。

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