ツーリング先で変速機(ディレイラー)の調子が悪くなり、「快適に走り続けることができなかった・・・」なんて経験ありませんか? そんな時には、安全・確実に自宅まで戻ることのできる状態まで携帯工具で応急調整することが重要です。今回は、リア変速機のトラブル症状ごとに調整ポイント&手順を紹介します!
アドバイス&撮影協力/バイクプラス
症状1/操作していないのにリアギヤが勝手に変速してしまう
操作をしていないのに、「ガチャガチャ」音を立ててギヤが勝手に変速してしまう時は、変速機ワイヤーの張りが適正でない原因が考えられます。
勝手に変速してしまうギヤ位置の状態で、片手で車体を持ち上げて後輪を浮かし、もう片方の手でクランク(ペダル)を回してみて、勝手に変速してしまうのがトップ(A:小さなギヤ)側か、ロー(B:大きなギヤ)側かを確認しましょう。
トップ側(A)に勝手に変速してしまう場合は、変速機後方に付いているアウターアジャストボルトをA方向に1/4回転(ワンクリック)させ、一度自転車に乗って確認。まだ勝手に変速してしまう場合は、同じ作業を勝手に変速しなくなるまで行います。
逆にロー側(B)に勝手に変速してしまう場合は、アウターアジャストボルトをB方向に1/4回転ずつ調整し、同様に自転車に乗って勝手に変速しなくなったか確認しながら調整。自転車に乗って確認する際は、周囲の安全に気を付けましょう。
症状2/リアのギヤが最後まで変速しない
手元の操作では最後まで変速しているのに、実際のギヤは最後(いちばん大きな軽いギヤ)まで変速しない場合は、変速機の振り幅(動く幅)が狂ってしまっていることが考えられます。
最後まで変速しなかった場合は一度停車し、停車したままの状態でクランク(ペダル)を回さずに、手元の操作で最後まで軽いギヤに変速してある状態からギヤを一段トップ(小さな重いギヤ)側に変速します。
その状態で、変速機後部についている二つの振り幅アジャストボルトのうちLと書かれた下側のボルトを1/4回転させて、いちばん軽いギヤまで変速できるか確認。いちばん軽いギヤに変速するまで同じ作業を繰り返しましょう。しかし回しすぎると逆にチェーンが脱落しやすくなってしまうので注意が必要です。
症状3/走行中に後方のギヤからチェーンが外れてしまう
走行中の変速時に後方のギヤからチェーンが外れてしまう場合は、リア変速機のアジャストボルトを調整します。チェーンが脱落すると自転車本体やホイールなどを破損してしまう危険性もあるので、外れやすい場合は早めに調整しましょう。その際、脱落するのがトップ(外)側かロー(内)側を確認し、それぞれの症状に対応したボルトを適正方向に回すことがポイントです。
トップ(小さいギヤ)側にチェーンが脱落してしまう
チェーンがトップ(いちばん小さいギヤ)から外側に落ちてしまう場合は、まずトップに変速した状態から作業をスタート。
リア変速機後部にある2つのアジャストボルトうち、Tと書かれた上側のボルトを時計回りに1/4回転させ、自転車の後方から見てプーリー(変速機に付いている2つの小さなギヤ)とトップギヤの位置が一直線になるまで同様の作業を続けます。
ロー(いちばん大きなギヤ)側にチェーンが脱落してしまう
チェーンがロー(いちばん大きなギヤ)から内側に脱落してしまう場合は、ローに変速した状態から作業を始めます。
リア変速機後部にある2つのアジャストボルトうち、Lと書かれた下側のボルトを時計回りに1/4回転させ、自転車の後方から見てプーリーとローギヤの位置が一直線になっていればOK。なっていない場合は同様の作業を続けます。
症状4/リアディレイラーが曲がってしまったら・・・
転倒してしまった時や輪行中などに、フレームのエンド部分を曲げてしまうトラブルが発生してしまうことがあります。そんな状態ではいくら調整しても正常な状態に戻すことはできません。ツーリング途中や旅先でこのような状態になってしまった場合は、携帯工具を使って手の力で元の位置まで戻しましょう。しかし、これはあくまで応急処置。帰宅後はすぐにショップへ持っていき、本格的な修理をすることがオススメです。
後ろ方向から確認。リアのギヤをトップ(いちばん小さなギヤ)に変速し、後ろ方向から見てギヤと変速機(プーリー)が平行かチェックします。
次にリアのギヤはトップのままで、今度は上方向からギヤとディレイラーが平行になっているかを確認。必ず上・後の両方からチェックすることが重要です。
変速機が曲がっている状態ではフレームのエンド部分が曲がってしまっています。携帯工具のアーレンキーを変速機の取り付けボルトに差し込み、アーレンキーを握って軸としながら、手の力で変速機全体を元の位置に戻します。