ツーリング先のトラブルから安全・確実に自宅まで戻るための携帯工具で行う応急調整法を紹介。今回はフロント変速機(ディレイラー)とブレーキの調整手順をトラブル症状ごとに解説します。とくにブレーキの不具合は安全走行に直結する問題なので、確実に応急処置法をマスターしましょう!
アドバイス&撮影協力/バイクプラス
症状1/フロントギヤからチェーンが外れてしまう
フロントのチェーンリング(前側のいちばん大きなギヤ歯)からチェーンが脱落してしまう場合は、脱落するのが外(アウター)側か内(インナー)側かをまずは確認しましょう。それぞれ外れる方向に応じて、フロント変速機の振り幅アジャストボルトで調整を行います。
チェーンが外側に外れてしまう・・・
ギヤをフロント:アウター(いちばん大きいギヤ)×リア:トップ(いちばん小さいギヤ)に変速した状態にします。
フロント変速機の上部にある2つの振り幅アジャストボルトのうち、外側のボルトを1/4回転ずつ時計回りに回します。
振り幅アジャストボルトを1/4回転するごとにチェーンガイドの外側の板とチェーンとの間隔を確認して、0.5mm~1mmになれば調整完了です。
チェーンが内側に外れてしまう・・・
ギヤをフロント:インナー(いちばん小さいギヤ)×リア:ロー(いちばん大きなギヤ)に変速した状態から作業スタート。
フロント変速機の上部にある2つの振り幅アジャストボルトのうち、内側のボルトを1/4回転ずつ時計回りに回していきます。
右側のペダルが写真の状態にある位置から下方向に押すようにしてチェーンにテンションをかけ、チェーンガイド内側の板とチェーンとの間隔が0.5mm~1mmになればOKです。
症状2/フロントギヤ周辺から「カリカリ・・・」異音がする
走行中、フロントギヤ周辺から「カリカリ」と異音が聞こえたら、「故障か?」と疑う前に、変速レバーで微調整してみましょう。
チェーンガイドがチェーンに接触してしまっているだけの場合も多いので、手元の変速レバーを微調整します(通常1段変速する際の半分程度)。チェーンガイドを少し移動させてあげると異音が解消されます。それでも異音が消えない場合は、別に原因があることが考えられるので、ショップに持っていきましょう。
症状3/ブレーキシューとリムが接触してしまっている
車輪・ブレーキとも真っ直ぐ装着されているにも関わらず、ツーリング途中でブレーキシューとリムが接触し始めてしまった場合は要注意です!完全に修理するには専門工具と技術が必要なので、まずはブレーキアーチの幅を広げて接触を解消する応急処置で対応しましょう。しかし応急処置はあくまで応急です。安全に帰宅した後、ショップで完全に修理・調整してもらうことが重要です。
キャリパーブレーキの場合
ブレーキアーチ幅を広げる①
ブレーキアーチの肩にあるクイックレリーズを上側へ操作し、ブレーキシューがリムに当たらない幅まで広げます(シマノの場合)。
ブレーキアーチ幅を広げる②
上記手順でクイックレリーズを操作しただけではまだシューとリムが接している場合は、ブレーキアーチ上部に付いているケーブルアジャストボルトを回してアーチ幅を広げて調整しましょう。
フラットハンドルの場合
フラットハンドルの応急処置①
クロスバイク・MTBの場合は、ブレーキレバー近くにあるアジャストボルトで調整します。まずはストッパーボルトをA方向に緩めます。
フラットハンドルの応急処置②
次にアジャストボルトをB方向に回してブレーキ幅を広げます。アジャストボルトがB方向に回らない場合は、ワイヤーを緩めて調整を行います。
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