歴史的建造物や文化スポットが多く存在する愛知県・名古屋市。今回は、中部地域最大のターミナル駅である名古屋駅をスタート&ゴールで芸術スポットを巡る約40kmのサイクリングコースを紹介します。立ち寄りポイントを減らして距離を約半分にもできるので、ファミリーで気軽に楽しむのもオススメです!
- オフィスビルの上に名古屋城が乗っている!? 城郭風の屋根を持った「愛知県庁」
- 絵画のような荘厳な雰囲気で建つネオ・バロック様式の「名古屋市市政資料館」
- 江戸時代の武家屋敷や大正・昭和の洋館が残る「主税町」「橦木町」の町並み
- まるでおとぎの国の塔!? 第二次世界大戦前に建てられた歴史ある「東山給水塔」
- 名古屋の高級住宅街に建つ「覚王山日泰院」から名古屋港を目指して山崎川へ
- 名古屋ポートビルから海を望み、「南極観測船ふじ」見学を楽しめます!
- 境内で“名古屋めし”も食べられる「熱田神宮」で心も体も胃袋も(?)リフレッシュ!
- イタリアで未完に終わったダ・ヴィンチの幻の作品「スフォルツァ騎馬像」に出会えます
- 名建築が各所で見られる「白川公園」。国産の大型宇宙ロケットも間近で見られます!
オフィスビルの上に名古屋城が乗っている!? 城郭風の屋根を持った「愛知県庁」
スタートは近鉄名古屋駅や東山線名古屋駅もある名古屋駅の東側(桜通口)。まずは駅前から桜通(県道68号線)を東へ走り、桜橋で堀川を越してすぐ左折して木挽町通を進みます。道は名古屋高速都心環状線の下を通過して国道22号線を右折し、“中区三の丸一丁目”交差点で出来町通(県道215号線)へ。
名古屋城を左手に出来町通を東へ進んで“市役所”交差点まできた右手に見えるのが、西洋建築に和風の瓦屋根をのせた独特なデザインが採用された「名古屋市役所本庁舎」(1933年竣工)と「愛知県庁本庁舎」(1938年竣工)です。第二次世界大戦の開戦前年に完成した「愛知県庁本庁舎」(下写真)は、国威発揚のため日本の伝統的な建築様式が反映され、近代的なビルの上に名古屋城のような城郭風の屋根が乗った独特の姿を見せます。
絵画のような荘厳な雰囲気で建つネオ・バロック様式の「名古屋市市政資料館」
出来町通で“市役所”交差点を直進し、名古屋城の空堀にかかった清水橋を越してすぐの交差点を右折。少し走ると左手に見えるのが「名古屋市市政資料館」です。1922年(大正11年)に建てられたネオ・バロック様式の建物。かつては裁判所庁舎として使われ、現在は市政資料館となり、国の重要文化財にも指定されています。
江戸時代の武家屋敷や大正・昭和の洋館が残る「主税町」「橦木町」の町並み
「名古屋市市政資料館」前の“市政資料館”交差点を左折し、名古屋高速1号楠線の下を通過して進んだ主税町筋やひとつ南側を走る橦木筋の周辺には、歴史的な建物が多く残ります。江戸時代の武家屋敷町の中に大正・昭和期に建てられた洋館や和館が点在します。
主税町筋を東へ進み、“主税町4”交差点を右折してすぐ左手に見えるのが、大きなオレンジ色の屋根が特徴的な「二葉館」(下写真)です。実業家の福澤桃介と戦前の女優・川上貞奴が住んだ和洋折衷の建物は車寄せも設けられた豪華な作りで、館内を見学(有料)もできます。
まるでおとぎの国の塔!? 第二次世界大戦前に建てられた歴史ある「東山給水塔」
「二葉館」前の道を南下し、「飯田町」交差点を左折して外堀通りを進みます。しばらく走り、JR中央西線の上を通過し、千種公園にぶつかったところを右折。次に“東部医療センター西”交差点を左折して道なりに進み、1.1kmほど走った左手のビルの間に見えてくるのが「東山給水塔」です。漫画の舞台にでも出てきそうなこの独特な形の建物は1930年(昭和5年)にこの地域の配水塔として建てられ、現在は災害対策用の応急給水施設として活用され、展望スペースも設けられています(工事のため現在は一般公開中止)。
名古屋の高級住宅街に建つ「覚王山日泰院」から名古屋港を目指して山崎川へ
左手奥に「東山給水塔」、右手に「覚王日泰院」が見える交差点を右折して四観音通の細い道を走っていきます(一方通行逆走ですが、自転車走行可能です。注意して走行しましょう)。「覚王山日泰院」を回り込むように左折して、すぐ山門前を右折します。
少し進むと県道60号線にぶつかるので左折してすぐの“覚王山東”交差点で右折して細い2車線道路を進んでいきます。道なりに走り、県道30号線を右折して南下。“田代本通3”交差点で右折してすぐの小道を左折してすぐに山崎川にぶつかります。
ショートコースの場合は“田代本通3”交差点で右折してそのまま西に大通りを進むと、この後に紹介する「白川公園」に到着し、名古屋駅までゴールして距離18kmとなります。
名古屋ポートビルから海を望み、「南極観測船ふじ」見学を楽しめます!
山崎川に沿って下流へと進んでいきます。途中何ヵ所か電車の高架などで遠回りが必要な場所もありますが、川沿いに進むことで迷わずに走ることができます。10kmほど山崎川沿いを走ると、県道55号線にぶつかるので右折して大江橋で山崎川を渡り、名四国道(バイパス)にぶつかったら、左折してバイパスの高架に沿って進んでいきます。
途中で高架下の反対側に移動してさらに進み、T字路にぶつかる手前の歩道橋に入って(自転車は押して通行しましょう)堀川を渡り、道なりに進んで“築地口”交差点で左折して国道154号線を南下すると名古屋港に到着します。
ここでは2代目の南極観測船「ふじ」と、白い帆船をイメージしてデザインされた「名古屋ポートビル」を見ることができます。名古屋ポートビルには展望室があり、南極観測船内も見学(有料)ができます。
境内で“名古屋めし”も食べられる「熱田神宮」で心も体も胃袋も(?)リフレッシュ!
名古屋港から先ほど走ってきた国道154号線を戻り、“築地口”交差点で右折してそのまま国道154号線を進むと“白鳥橋西”交差点で国道1号線を右折。850mほど進み“熱田神宮南”交差点を過ぎて1つ目の細い道を左折すると到着するのが「熱田神宮」です。
1300年以上の歴史を誇る神社の境内は鬱蒼とした森に包まれ、都会にいることを一時忘れてしまうほど厳かな雰囲気に包まれます。また境内では名古屋名物きしめんの店もあるので、自転車散策中の昼食にもおすすめです。
イタリアで未完に終わったダ・ヴィンチの幻の作品「スフォルツァ騎馬像」に出会えます
国道1号線で“白鳥橋西”交差点に戻り、堀川沿いを上流へ進んでいきます。700mほど進んだ左手にある「名古屋国際会議場」まで来たら、ぜひ中庭に立つ「スフォルツァ騎馬像」を見るのがオススメです。
イタリアの芸術家にして発明家のレオナルド・ダ・ヴィンチが制作に着手しながらも、戦争によって未完に終わった幻の作品を、手原稿やデッサンをもとにダ・ヴィンチが構想した実物大で復元された騎馬像を見ることができます。
名建築が各所で見られる「白川公園」。国産の大型宇宙ロケットも間近で見られます!
堀川沿いを北上して、名古屋高速2号東山線にぶつかったら右折。700mほど走った左に見えるのが「白川公園」です。園内には内部がプラネタリウムになっている大きな円球が特徴的な「名古屋市科学館」や、名古屋出身の建築家である黒川紀章によって設計された「名古屋市美術館」を見ることができます。
さらに園内には、国産大型ロケットH-IIBが屋外展示され、その実際の大きさに驚かされます!
白川公園からは再び堀川沿いに北上し、桜通(県道68号線)を左折して名古屋駅でゴールとなります。距離は約40kmと自転車散歩としては長いので、のんびり1日かけて巡るのがオススメです。